- 教科書では、単元ごとに、新しい数量が定義され、この数量に関する法則、定理、公式が導かれています。数学の学習では単元ごとに、これらを理解しているかどうか、練習問題を解くだけでなく、自らで定理を言えるか、公式を導くことができるか、を練習します。
- こうすることで、問題文の数量がどんな単元の定理、公式に当てはめれられかに気づくことができます。教科書傍用問題集にも日頃から取り組みましょう。
- 模試などの実力テスト対策には、解法指針や図や表など解説の詳しいものを参考にするとよいでしょう。またセンター試験や二次試験などの入試対策も過去問の傾向を分析して、その対策を講じるとよいでしょう。
学習の悩み、解決法
教科書の説明が分からない、例題は理解できるが傍用問題集が解けない、あるいは定期テストはできるのに、模擬試験などの初見の問題をどのように解いたら良いかわからないなど、数学ならではの悩みがあります。この原因の一つは、知識が論理的に整理されていないことにあります。
数学の学習法は、公式や問題のパターンを暗記することだといわれることがあります。出題範囲の決まっているテスト問題を突破するためだけならそれでよいかもしれません。しかし、基礎的な事柄を理解していなければ、初見のタイプの問題にも対応できる、ほんとうの数学の論理的な思考力は身に付きません。
ここからは専門的な話になりますが、数学的な思考力とはどういうものかを考えることが、勉強法をを考えることにつながります。数学の各単元では、新しく定義された数量の公式、定理を学びます。たとえば、中学では無理数を「平方して元の数aになる数を、√aと書き、(√a)²=aが成り立つ」、高校では直角三角形で「斜辺と底辺との成す角θのとき、高さ÷斜辺長=sinθと定義する」などが、新しく学ぶ数量の定義というものです。ここからその数量に関する公式や定理を学んでいき、これを活用する問題を解いていきます。このためにはまず、この公式等の導出や式変形に習熟します。これが最初にすべき数学の学習法で、解法パターンを覚えることや問題集に取り組むことではありません。解法パターンというよりもむしろ、問題のパターンを理解すべき分野もあります。たとえば、場合の数はまず、数え上げる場合と計算公式などを用いる場合で問題パターンを分けて考えます。次に計算公式に当てはまられる7つの問題パターンのどれに当てはまるのかを言い換えなどを用いて見抜く訓練をします。公式の変形作業と似た文章の言い換え作業とも言えます。図形問題では、図の中の角度や辺長とそれらが形作る図形との関係を抽出することに習熟することが基本です。まずは、これらの導出訓練に取り組みます。さらに数量関係を図や表で表すと、本当に定義や公式を理解しているのかどうかに気づきます。つまり自己点検ができます。
こうした訓練を経れば、初見の問題でも、その問題の中の数量関係を分析することの必要性がわかり、どんな公式、定理に関する問題なのかにきづくことができるようになります。ここで身に付いた思考力が数学的な論理的思考力です。これは実社会でも活かされます。現実の問題を分析していく中で、その内容の関連を紐解き、過去の経験から得た法則や見聞した考えで答のヒントに気づきます。あるいは気づくまでじっくりと考えます。こういう態度が、人生の初見の問題に対応していく場面でも前向きになれ、必ずや大きな力を発揮するでしょう。それが楽しい人生を送るコツになります。
数学的思考法について、先の例は定義から考えるという思考法です。他の例をあげると、証明問題があります。これは結論が示されていて、問題文のいくつかの条件から結論を導く筋道を考える、証明していく問題です。関連する定義法則を用いなければいけません。このときの思考法は「逆から考える」という方法です。証明する結論が分かっているので、そこから逆に辿っていくことが良いのです。問題提起→本論→結論という証明の展開を、結論→本論←問題提起、という流れで「本論」部分、つまり証明の骨格部分を考える方法です。このことは料理するのに、メニューと言う結論を仕上げるのに、必要な材料や料理法を逆から考えることと似ています。数学って楽しい、わくわくする気持ちになれると思いませんか。